アクアライフ2018年10月号を手に入れたときの高揚感は、長年アクアリウムを楽しんできた人ならきっと共感してもらえると思う。
書店で立ち読みして以来ずっと気になっていた一冊で、ようやく手元に届いた瞬間、まるで昔の友人に再会したような気持ちになった。
近年はネイチャーアクアリウム=ADAというイメージが強く、レイアウトの方向性がある程度固定化されている印象もある。そんな中で、この号の特集「コンセプトアクアリウム」は、アクアリウムの本来の多様性を思い出させてくれる内容だった。
コンセプトがある水槽は、なぜこんなに面白いのか

「あなたの水槽のコンセプトは何ですか?」という問いかけは、意外と答えにくい。なんとなく好きな魚を入れ、好きな水草を植え、気づけば“自分らしい水槽”になっている。しかしこの特集を読むと、無意識に作ってきた水槽にも、実は明確なコンセプトが潜んでいることに気づかされる。誌面では13の個性豊かな水槽が紹介されており、どれも作者のこだわりと世界観が詰まっている。
心を奪われた3つのコンセプト水槽

特に印象に残ったのは次の3つ。
• マダガスカルに憧れたレースプラント水槽
レースプラントを主役にしたレイアウトは本当に珍しい。毎号アクアライフを読んでいても、コンテスト作品を見ても、ほとんどお目にかからない。だからこそ、この水槽は唯一無二の価値がある。
• 温帯卵生メダカ水槽
何度挑戦してもブリーディングが成功しない私にとって、これは嫉妬すら覚える水槽。温帯卵生メダカの魅力と難しさを知っている人ほど、このコンセプトの深さが刺さるはず。
• ワサビ田を再現したワサビとハゼ水槽
旅行でワサビ田を見ても「水槽にしよう」とは普通思わない。だが、発想を転換すればこんなにも魅力的なレイアウトになる。アクアリウムの可能性は、想像力次第で無限に広がると実感した。
表紙を飾る“観察水槽”の衝撃

そして何より心を奪われたのが、三澤遥氏(日本デザインセンター 三澤デザイン研究室)の“観察水槽”。20年以上アクアリウムに触れてきたが、こんな水槽は見たことがない。一見するとアート作品のようだが、実際は魚の行動を観察するために計算し尽くされた構造で、3Dプリンターで作られた人工物の配置が圧巻。アクアリウムの未来を感じさせる一作だった。
幻の写真集“Waterscape”
調べてみると、三澤氏は過去にすみだ水族館で展示を行い、写真集も出版していたらしい。しかし現在は入手困難。ネットでも見つからず、まさに“幻の一冊”。もし幸運にも手に入れることができたら、必ず紹介したいと思っている。
日本デザインセンターwaterscapeのサイトは以下から

アクアリウムの世界は、まだまだ知らない楽しみ方で満ちている。あなたの水槽のコンセプトは、どんな物語を語ってくれそうだろうか。


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